南三陸町、志津川駅がかつてあった場所の近くにコミュニティーカフェ・コモンズがある。
木をふんだんに使った板倉造りの、といっても洋風の素敵な建物に素敵な内装、音楽、そしてリーズナブルで美味しい料理。ゆったりと暖かい空間に、子供から年配の方、近所の人から復興工事の人までいろいろな人が集まるカフェだ。
そんなコモンズさんの場をお借りして、おいしい料理とともにサイエンスを話題に交流しようというイベントを始めてみた。
第1回は「南極の氷の不思議」と題し、元越冬隊員であるネイチャーセンター友の会会員が〜南極の氷から地球の現在過去未来をみる〜というサブテーマでお話をした。

国立極地研究所提供のパンフレットと南極の氷山氷

暑い夏の夜に冷たい南極の氷の話でも、と選んだ話題。せっかくなので、国立極地研究所に協力いただいて、南極から持ち帰った氷山氷を用意した。
この氷の特徴は、中にたくさんの気泡が入っていること。そして、その気泡の元は、何万年か前の南極の空気!
冷たい大地に雪が降り積もり、何万年も、何十万年も、、降り積もり、それ自身の重さで圧縮されて氷になり、ゆっくりゆっくりと、1年間に何メートルか何キロメートルかの速度でゆっくりゆっくりと流れ下り、南極大陸の縁まで流れ着いて、せり出して、バッカリと割れて海に流れ出したのが氷山だ。氷が生まれてから観測隊員に砕かれるまでの時間は、ちゃんと調べはしないけど、およそ数万年ということだ。数万年前に雪と一緒に氷に閉じ込められた空気が、グラスに水を注ぐとパチパチとはじけて飛び出してくる。ロマンです。

といった話から、大陸移動の話、氷がつくりだす風景、南極氷床のてっぺんで氷を3035m掘った話、気候変動、ペンギン、海洋深層流など、最新の話題を意識しながら30分という短い時間にぎゅっと詰め込んで話し、そのあとコモンズさんの美味しくてボリューミーな料理とお酒に、参加者同士和気あいあいと歓談。講師もついついそっちに引き込まれてしまったけど、最後はみなさんからのワクワクするような質問からまた話題が広がり、予定時間を45分もオーバーしつつ楽しい雰囲気で閉会となった。

勝手に「第1回サイエンスカフェ」と企画し実行したけど、とっても楽しかったので、本当に第2回3回とやりましょう。今回は、もろもろの事情から広く参加者募集をしなかったのだけれど、次からはみなさんにお知らせもして、いろんな人と楽しめたらいいな。講師はリレー方式で、いろんな人のお話を聞きたい。何だって、その気で見ればサイエンス。あなたもぜひバトンを引き継いでください。

次回以降に、乞うご期待。

コミュニティーカフェ・コモンズでサイエンスカフェのはじまりはじまり

 

おまけ:
南極関連の本を「かもしか文庫」(入谷の「校舎の宿さんさん館」1F研修室内)に展示してあります。大型写真集や読み物、絵本もあります。貸し出しはありませんが、
山の学校の素敵な雰囲気の中でゆっくりとご覧ください。
利用時間:9時〜19時(夏期)10時〜17時(冬期)