思えば、童子山の山頂から藪をかき分け三人立の山頂に立ち、「いつかここに”やぶ活”で訪れることがあるのだろうか」と、田束山や太平洋を眺めながら思ったのは、2018年の元旦のことでした。
それからわずか1年とすこしの時を経て、2019年2月21日、ついに童子山から三人立まで、藪をかき分けなくても歩けるだけのトレイルが開通しました。

三人立山頂より遠くは室根山

「南三陸イヌワシ火防線プロジェクト」はこの1年、パタゴニア日本支社さんのご支援などたくさんのご協力をいただき、2度のトレイル整備プログラムや有志による下見や刈り払いを行ってきました。


かつては草木一本生えないように手入れされた「火防線(=山火事の延焼防止のための防火帯)」は、山の草地や薪炭林が暮らしに必要なものでなくなってから数十年の間、自然に任せて草木が旺盛に生い茂り、松枯れの進行も手伝って、なかなか手強そうな藪であるなぁと思わせたのでした。
それが、こつこつと作業を続けることにより、(いつもながら感動するのですが)振り返ると道ができているのです。


そういえば今回は、チェーンソーや刈り払い機を操る林業作業班の方々という強力な助っ人があったことも忘れてはいけませんね。
なにはともあれ、「惣内山〜神行堂山ルート」に続き、また新たなトレイルが生まれました。

ちなみに、童子山と惣内山、神行堂山は南三陸町入谷地区を代表し、「入谷三山」と呼ばれています。
三人立は、海から見てぴょっこりと尖った山容で、むしろ海からの目印として漁師さんなどに親しまれている山かもしれません。

「南三陸イヌワシ火防線プロジェクト」は、最終的に町界尾根の全線をトレイルとして整備し、イヌワシの狩場となるような空間を作り出し、イヌワシが再び南三陸町に戻ってくることを目指しています。

これまでに開通した入谷のトレイルは、いずれも町界尾根から外れています。
しかも、場所によっては人ひとりが通れるだけの幅しかないところもあり、イヌワシの狩場としても物足りないところがあります。
しかし、ここを足がかりに、地元の人たちや他所からの人たちと共に山に親しみながら、こつこつと最終目標に向かってプロジェクトを進めて行く予定でいます。

童子山〜三人立が開通した翌日、私たちはその勢いで、弥惣峠から三人立につながる町界尾根に手をつけました。
このあたりは、もともと国有林の巡視路として手入れがなされていたこともあり、この日の作業後にはトレイルとしてすでに十分な様相。
というわけで、ついでに、童子山〜三人立〜弥惣峠ルート開通!としちゃいます。

(人ひとりやっと通れる笹やぶや、切り株などのこる場所もありますが。)

開通したトレイルは、私有地であったり、駐車場やトイレがないとか、「登山道」のような整備はなされていないため、残念ながら誰もが自由勝手に遊べる場所とは言えません。
それでも、ぜひ行ってみたい!という方は、まずはイベントに参加するなどしてもらえればと思います。
友の会では、5月1日にこの新しいルートを歩くイベントを計画中です。
詳しい内容はまだ未定ですが、地元の人たちにも声掛けして、是非とも参加してもらいたいなぁと考えています。
童子山の金掘りの歴史や、ルートの途中にある炭焼き跡、かつてこの地にいたイヌワシの話などしながら、夏草が生い茂る前の心地よいトレイルを歩けたらと思います。
お楽しみに。